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第159回「改正入管法」
第159回国会において成立した「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成16年6月2日法律第73号)」について
1. 立法の背景
近年、治安に対する国民の不安が増大していますが、その一つの原因として不法滞在外国人問題が指摘され、その対策 が各方面から求められています。現在、約25万人とも推計されている不法滞在者等を減少させるためには、厳格な出入国 審査を実施し、不法滞在者の摘発を抜本的に強化するほか、不法滞在者自らが本邦での不法滞在状態を終了し帰国する ことを促す施策を実施するとともに、不正な手段により上陸許可等を受けて合法滞在を装う実質的な不法滞在者を排除す る必要があります。
また、我が国が昭和56年に難民認定制度を創設して20年余りが経過して、近時における国際情勢の変化等に伴い、我が 国の難民認定制度を取り巻く状況が大きく変化したことにかんがみ、より公正な手段によって難民の適切かつ迅速な庇護 を図る観点からの見直し等が必要となりました。 さらに、障害者の社会活動への参加を不当に阻む要因とならないよう、障害者に係る欠格条項の見直しを行うとの平成11 年8月の障害者施策推進本部決定を受け、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者等の外国人に係 る上陸拒否の範囲の見直しをする必要があります。
以上の要請を踏まえて出入国管理及び難民認定法の一部を改正をすることとしたものです。
2. 改正のポイント
(1)不法滞在者対策 (平成16年12月2日施行)
罰金の引き上げ
不法入国罪等に関する罰金額の上限が引き上げられます。
- 不法入国の罰等 罰金30万円 → 300万円
- 偽変造旅券で入国したり密入国したりした場合
- 在留期間を経過して不法残留(オーバーステイ)した場合
- 留学生が風俗営業店などで専らホステスとして稼働した場合等
- 不法就労助長の罪 罰金200万円 → 300万円
- 不法滞在者や就労することのできない在留資格を有する外国人に不法就労活動をさせたり、他の会社等にあっせんしたりした場合等
- 無許可資格外活動の罪 罰金20万円 → 200万円
- 就学生が資格外活動許可を受けずに日雇いのアルバイトをした場合等
上陸拒否期間の見直し
外国人が我が国に入国することが禁じられる期間(上陸拒否期間)が次のように変わります。
- 過去に退去強制歴等のある者 10年
- 出国命令により出国した者 1年
- 当局の摘発等により退去強制されたもの(過去の退去強制等のない場合) 5年
出国命令制度の新設
不法残留(オーバーステイ)者が次のいずれの要件も満たす場合には自ら出国することができます。
- 速やかに出国する意思をもって自ら入国管理官署に出頭したこと
- 不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
- 入国後に窃盗罪等の所定の罪により懲役刑等に処せられていないこと
- 過去に退去強制歴等のないこと
- 速やかに出国することが確実と見込まれること(この要件を満たすためには、有効な旅券や帰国旅費を用意している 必要があります。)
※出国命令により出国した者の上陸拒否期間は1年になります。
手続の流れ
出頭 → 違反調査 → 審査 → 出国命令 → 任意出国
在留資格取消制度の新設
在留資格をもって在留する外国人について、次の事実が判明した場合には、在留資格の取消しの対象となります。
- 上陸拒否事由に該当していることを偽った場合 例: 我が国から退去強制され上陸拒否期間中にある者が、その事実を秘匿し、氏名を変更して上陸許可等を受けた 場合など
- 活動内容を偽った場合 例: 我が国で専ら就労することを目的とする者が、学業を行う等と偽って「留学」の在留資格等を取得した場合など
- 1.2.以外の内容を偽った場合 例: 申請人が自身の学歴や調理師等としての経歴等を偽って上陸許可等を受けた場合
- 申請人以外の者が事実と異なる文書等を提出したような場合 例: 外国人研修生の受入れ機関が虚偽の研修計画書等を提出して当該研修生が上陸許可等を受けた場合
- 所定の在留資格※1をもって在留する者が、その在留資格に係る活動を正当な理由※2がないのに、3月以上行って いない場合 例: 不登校で学校から除籍された留学生が、その後も他の学校に入学せず、留学生としての活動を行う見込みのな い場合など
(注) 3.から5.に該当するとして在留資格が取り消された場合には、30日を超えない範囲内で出国猶予期間が指定され、 その間に任意出国できますが、1.及び2.に該当するとして在留資格が取り消される場合には、退去強制手続が執られる ことになります。
※1-所定の在留資格
「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「投資・経営」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、 「技術」、「人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「技能」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「就学」、 「研修」、「家族滞在」、「特定活動」
※2-正当な理由
- 留学生が病気により休学中で相当期間療養が必要なところ将来的には学業に復帰する見込みがある場合
- 勤務先の会社が倒産してしまい活動を継続できなくなったものの、再就職に向けて誠実に就職活動を行っている場合等
手続の流れ:
取消事実の判明 → 意見の聴取 →
在留資格取消(出国猶予期間の指定) → 任意出国又は退去強制
(2)難民認定制度の見直し(政令で定める日から施行)
仮滞在許可制度の創設
不法滞在者である難民認定申請中の者の法的地位の安定化を図るため、仮滞在を許可する制度を創設することとし、 仮滞在の許可を受けた者については退去強制手続を停止し、難民認定手続を先行して行います。
ただし、一定の退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由がある者、本邦に上陸した日から6ヶ月を経過した 後、難民認定申請を行った者 ※1. 迫害のおそれのあった領域から直接本邦に入っていない者 ※2. 及び本邦に入った 後に刑法等に定める一定の罪を犯して懲役又は禁錮に処せられた者等については仮滞在の許可の対象となりません。
※1 6ヶ月を経過したことにやむを得ない事情がある場合には仮滞在許可の対象となり得ます。
※2 単に第三国を通過したにすぎない場合や、第三国での滞在期間が非常に短くその国では庇護が与えられなかった ような場合には仮滞在許可の対象となります。
難民として認定された者等の法的地位の安定化
難民と認定された者で一定の要件を満たす場合には、一律に在留を認めることにより、法的地位の安定化を早期に図る こととします。
不服申立制度の見直し
難民認定手続の公正化・中立化をより高める観点から、第三者を不服申立ての審査手続に関与させる難民審査参与員 制度を設けることとしています。難民審査参与員については、難民認定手続においては難民認定の基礎となる証拠が海外 にあって収集が難しく、限られた証拠を的確に評価して適正な事実認定を実現すること、海外情勢を審査・判断に正確に反 映させること、条約等を適切に解釈することなどが必要であることから、
- 事実認定の経験豊富な法律実務家
- 地域情 勢や国際問題に明るい元外交官・商社等海外勤務経験者・海外特派員経験者・国際政治学者・国連関係機関勤務経験者
- 国際法・外国法・行政法等の分野の法律専門家等から選任することとしています。